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COLUMN

コラム

記憶と未来を重ねるリノベーション空間「西川近江八幡店」のこだわりとは

 

西川株式会社の創業は、永禄9年(1566年)に遡ります。「三方よし」の哲学のもと、19歳の時に、西川家の初代当主が蚊帳などの生活用品の行商を始めたのが、ここ近江国。その「はじまりの地」に、「西川甚五郎本店」敷地内の旧建物をリノベーションした新店舗「西川近江八幡店」がオープンしました。  光、音、香り。一つ一つにこだわりを感じる店内には、野の草花がアレンジされ、自然の原音が心地よく染み渡ります。455年の歴史を抱き、未来へと発信する新たな拠点。そのデザインを担当されたお二人に、新店舗に込めた想いをお話しいただきました。

西川株式会社
店舗開発デザイン担当 ディスプレイ 山形 久美子氏
デザイン戦略担当 デザイナー 見付智子氏




「出会い、寄り添い、育む」をテーマに、こだわりのセレクト


 通常の直営店は、用途や機能といった観点での区割りがなされています。必然的に、従業員は商品の説明をする場面が多くなります。しかし「お客様はもっと“心に響くきっかけは何か”を求めているのではないか。それには、店舗という環境が大きな役割をはたすのではないだろうか」、そんな考えから生まれたのが「西川近江八幡店」です。ここでは「出会い、寄り添い、育む」をキーワードに、新しい発想でゾーニングがなされました。

 のれんをくぐった瞬間、鳥の声や川のせせらぎの音が心地よく響き、ふと空気感が変わります。「出会い」のゾーンでは、近江麻もマスクや地場のお菓子など、気軽に触れられる小さなものたちが迎えてくれました。





 さらに進むと、「この色は何だろう、この風合いは何だろう」 と思わせる、厳選された商品が並んでいます。「寄り添う」ゾーンは、「つむぎ、めぐる。」を感じることのできるエリア。「この商品にはどんな歴史があるのだろう」「職人たちが、どんな想いで形にしてきたのだろう」そんなふうに、現在の機能商品に至るまでの長い歴史を、自然と思い巡らすことができます。

 例えば、近江カリヤス染めの新シリーズ「ボタニカルダイ」については、こんなふうに話してくれました。「近江カリヤスの涼やかな濁りのない色あいは、伊吹山の石灰質土壌のおかげなんです。弊社のアイコンである蚊帳の萌黄色は、近江カリヤスに古来の藍色を重ねて生まれたとか」(見付氏)。実際の色は見ることができなくても、想像はできます。「これが藍と混ざったら、どんな色になるんだろう」と、職人の想いに寄り添ってみる。この空間には、そんなひとときがよく似合います。





 最後は「育む」のゾーン。ここには開発を重ねてきた羽毛布団やマットレス類が置かれています。「“明日をより健康に”と願い、紡ぎ、育くまれてきたものたち。そんなものたちと一緒に未来をつくってもらいたい。ストーリーごと持ち帰って、一緒に暮らしていただきたいと考えているのです」(見付氏)。







主役は商品。ストーリーを感じられる空間に


 建物は、旧家の趣を生かしつつ、新しいしつらえがプラスされました。2階部分は梁だけを残し、高さのある空間となっています。

 ふと見上げると、ベンガラ色の天井に映える麻布が目に飛び込んできます。これは琵琶湖の情景を織りで表現した「近江ちぢみ」。まるで琵琶湖の揺らぎのように映ります。水の中から水面を見上げたときにキラッとする、あのイメージです。



「空間のデザインというのは、什器をつくるだけではありません。やわらかな光、ハイレゾ自然音、木の香り。五感に響くものが大切な役割を担っています。照明器具から細かい雑貨小物の台座一つに至るまで、私たち二人は最後までこだわり抜きました。野の草花をベースとした植栽、笠をモチーフにしたお菓子、様々なご縁がつながることでストーリーのある店舗ができあがったのです」(山形氏)





「私たちは「幸せな記憶、心に響く記憶が、その先の人生を豊かにしてくれる」と考えています。のれんをくぐっていただいたお客様に、素敵な記憶と豊かな未来を重ねていただくことが、私たちの仕事。この場所で心地よい暮らしのエッセンスが見つかり、未来が変わるかもしれません。そのために、これからもこだわり続けていきたいと思っています」(見付氏)

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