パナソニック株式会社のお膝元である大阪、守口の地。90年の歴史を持つ電池工場内に、このほど緑の安らぎの場が甦りました。そのエントランスには、自然の木や草花と「音」が織りなす「森」が広がり、休憩所や食堂もリフレッシュ空間へと姿を変えています。
工場といえば、無機質な空間を思い浮かべるもの。しかし、守口工場のエントランスを進むと、そこには天然の木や草花を配した森が広がっています。そして、同社が自然環境を意識したものづくりを進めていることを、語りかけてきます。「電池事業は地球環境にやさしい事業といわれています。それをお客様にも伝えたい。ここが地球環境にやさしい事業所であることを知ってほしいのです」(山本氏)
昭和の初めには、庭園があり、噴水があり、桜の花が咲く頃には外でお弁当を食べたりできる環境があったという守口工場。しかし、建物の老朽化に伴いコンクリートのビル化が進められ、緑がどんどん減ってきてしまったといいます。
仕事をするうえで、適度な休憩やリフレッシュは欠かせません。しかし、製造ラインを目の前にして椅子を置いて休憩しても、気持ちはなかなか休まらないでしょう。やはり環境を変えることが必要です。とりわけ、緑を見るなど、自然を体感できる場所で休むことができればリラックスでき、気持ちを切り替えて仕事をすることができます。
そんな場を提供すべく、守口工場は休憩室を緑の空間に変え、自然の音も取り入れました。そこには、さまざまにゾーン分けされたエリアが広がっています。創業当時の乾電池から新型のリチウム電池まで、ぐるりと回ると工場の歴史がよくわかるエリアもつくられました。それらは時々のシチュエーションに応じて使い分けられるよう、工夫されています。
工場の食堂にも緑が増え、森の音が心地よく聞こえてきます。今はもう、ただ満腹になればよいという時代ではありません。かつては疲れた様子の人も見られたといいますが、自然を体感できる環境での食事はおいしく、免疫力も上がるはず。外で食べるごはんと、同じような効果が期待できることでしょう。
「実際の森には、自然の音があります。せせらぎの音、鳥のさえずり、虫の音。そういった、緑に加えて音で体感する自然があれば、空気感が変わってきます。緑を取り入れる際には、音も一緒に取り入れると、リフレッシュ効果は非常に高い。全然違ってきますよ。
会社で働く皆さんの気持ちも、おおらかになってくるかもしれないと感じています」(山本氏)
「SDGsや脱炭素の実現といったテーマが、経営においても重要な要素となっている今日、私たちの仕事が環境に寄与するものであることを、従業員にも知ってほしい。その自覚をさらに高めていってほしいと思っています。私たちはそういう事業を担当しているんだと、誇りを持ってほしいのです。そうすれば働いている皆さんの意識が変わり、モチベーションもさらに上がっていくでしょう」(山本氏)
守口工場はこれからもどんどん変わっていく、緑もまだまだ増やしていく予定だと、山本氏はいいます。「次はどんな植物が増えるのだろう」「春になると花が咲くのかな」「野鳥が飛んでくるかもしれないね」、そんな話をする人が増えてきたとか。「私もその一人なんですよ」と、笑顔で語っておられました。